創業100年を超えるNISSANの歩みと進化:日本のモビリティ産業を牽引してきたDNAとは
日産自動車は1933年に設立されて以来、常に日本のモビリティ産業の最前線を走り続けてきました。創業当初は「ダットサン」の名前で展開される小型車を中心に、小規模ながらも国産自動車の先駆けとして存在感を放っていました。戦後の混乱を乗り越え、高度経済成長期には大衆車「ダットサン」が国内外でヒットし、日産は一気に国内トップクラスのメーカーへと躍進していきます。
1970年代に入ると、世界的なオイルショックにより燃費性能が注目される中で、小型化・高効率化をキーワードにエンジンの開発を進化させ、消費者ニーズに応える商品展開を行いました。その流れの中で「ブルーバード」や「サニー」などがヒットし、ファミリー層の足として広く普及しました。また同時期には、技術力とデザイン性を兼ね備えた「スカイライン」や「フェアレディZ」などのスポーツモデルも国内外で高い人気を博し、その名はグローバルに知られる存在となっていきます。
1980年代以降、世界経済のグローバル化が進む中で、欧州や北米など海外市場への本格展開を加速。生産拠点の多角化や、海外現地法人の設立によって競争力を強化し、世界中のユーザーに信頼されるブランドへと成長していきました。特に米国市場では、「アルティマ」「マキシマ」「パスファインダー」などのモデルがヒットし、現地ニーズに合った製品開発と販売戦略で大きな成功を収めます。1990年代末から2000年代初頭にかけては、バブル崩壊後の経営悪化や過剰な設備投資などの影響により、業績不振に陥ります。
この難局に際して、フランスのルノーとの資本提携という大胆な選択を行い、経営再建に着手。ルノーから迎え入れたカルロス・ゴーン氏を中心に徹底した構造改革を断行し、短期間で業績を回復させたこの再建劇は「日産リバイバルプラン」として世界中の注目を集めました。復活を果たした日産は、「技術の日産」というブランドメッセージを掲げ、さらなる飛躍を目指します。特に2000年代後半からは、電動化・環境性能・安全性に重点を置いた開発体制を整え、「リーフ」などのEVモデルや後述の「e-POWER」を世に送り出しました。
これらは、単なる環境対応車にとどまらず、ユーザーにとっての運転の楽しさや日常の利便性を実現する革新的なモビリティとして高く評価されました。創業から100年近い歴史を通じて常に変化する時代のニーズに応え、挑戦を恐れず進化を続けてきました。豊富な経験に裏打ちされた信頼性と、次世代に向けた先進技術の融合。まさにその両輪が、今日のブランドを支える強固な礎となっているのです。
ガソリンでも電気でもない新たな選択肢「e-POWER」日産が提案する次世代電動化ソリューション
e-POWERとは独自のシリーズハイブリッド技術であり、内燃機関と電動駆動の融合によって新しい走行体験を提供する革新的なシステムです。従来のハイブリッド車と異なり、e-POWERはエンジンを発電専用に使用し、車両の駆動は常にモーターによって行われます。これにより、EVのような静粛性とレスポンスを持ちながらも、充電インフラに頼らずガソリンで発電できるという利便性が両立されています。
このシステムは、電動車の運転感覚を求めつつも、まだEVインフラが整っていない現実を受け止めた、まさに「実用的な未来技術」と言えます。特に、日本国内においては急速充電スポットの偏在や、マンション住まいで家庭用充電が困難な環境のドライバーにとって、e-POWERは非常に現実的でストレスの少ない選択肢となっています。エネルギー効率の観点でも、e-POWERは非常に優秀です。
モーター駆動による滑らかな加速感、発電時のエンジン回転制御、そして都市部でのストップ&ゴー走行に最適化された電力マネジメントにより、ガソリン車と比較しても高い燃費性能を実現しています。また、エンジンが発電専用であるため、通常の内燃機関車よりも稼働時間が短く、メンテナンスコストの低減にもつながるという副次的なメリットもあります。e-POWER搭載の第一号車である「ノート e-POWER」は2016年に登場し、コンパクトカー市場で爆発的なヒットを記録しました。
以降、「セレナ」や「キックス」などにも技術が採用され、ファミリーカーやSUVの分野においても電動化の波を拡げています。これにより、幅広いユーザー層が手軽に電動駆動の魅力を体感できる環境が整ってきました。近年ではe-POWERの改良が進み、第2世代のシステムが登場。発電エンジンの静粛性向上、発電効率の向上、加速レスポンスのチューニングなど、ユーザーの声を取り入れたブラッシュアップが行われています。これにより、EVに近い感覚でありながら、より洗練されたドライビングエクスペリエンスを提供する存在へと進化しています。
e-POWERは単なる過渡期の技術ではなく、EVと内燃機関の“いいとこ取り”を実現する新しいモビリティの形といえます。この技術を通じて、より多くのユーザーに電動車の魅力と利便性を届け、インフラ整備の不均衡という社会課題に応える現実的な電動化ソリューションを提供し続けています。持続可能な社会への移行を見据えた技術的アプローチとして、e-POWERは今後も重要な役割を担うことでしょう。
世界市場で存在感を示すグローバルブランド:日本発の技術力と信頼が支持される理由
現在、世界160カ国以上で事業を展開するグローバルブランドです。その成功の要因は、日本発の優れた技術力と、国・地域ごとのニーズに的確に応える製品戦略にあります。例えば、北米市場ではピックアップトラック「フロンティア」やSUV「ローグ」が人気を集め、タフさと快適性の両立が評価されています。
ヨーロッパでは、コンパクトカー「マイクラ」やEV「LEAF」が都市型モビリティの代表格として支持を得ており、厳格な排出規制にも柔軟に対応する設計が評価されています。アフリカ市場では耐久性重視のモデルが展開され、中東では四輪駆動モデル「パトロール」が高い信頼を集めるなど、地域特性に合わせた商品ラインナップが成功を後押ししています。
さらに早期から現地生産体制の強化や現地人材の登用を積極的に進めてきました。アメリカ・メキシコ・タイ・中国・インドネシアなどに生産拠点を設け、それぞれの地域で販売からアフターサービスに至るまで一貫した対応を可能にしています。ローカライズされた製品開発により、その地域特有の道路環境や消費者の好みに合わせた車両を提供できる体制を築いてきました。特にインド市場では、価格と実用性を両立させたコンパクトカー「マグナイト」などを投入し、若年層や新興中間層をターゲットに市場シェアを拡大しています。
メキシコでは「ヴァーサ」や「センティラ」などのエントリーモデルが高い人気を維持し、現地生産・現地販売のビジネスモデルが定着しています。環境規制や安全基準が厳格な欧州・米国市場でも、日産車は高い信頼性を誇っています。これは長年にわたって積み重ねてきた技術開発と品質管理の成果であり、「メイド・イン・ジャパン」の信頼性の証明です。ISO9001やISO14001をはじめとする国際品質・環境認証を取得した生産体制を整備し、製品検査や衝突安全試験、耐久性試験などでも厳格な基準を導入しています。こうした徹底した品質管理が、世界中のユーザーから「安全で壊れにくいクルマ」として確固たる評価を得る背景にあります。
電動化やコネクテッドカーといった先進技術の分野においても、国境を超えたグローバルなイノベーションを推進しています。欧州におけるEVシェアの拡大、中国市場に向けたスマートシティ構想への参画、米国でのV2X(Vehicle to Everything)技術の研究開発など輸出企業としてではなく、各地の社会課題や未来の都市づくりに深く関与する変革者としての役割も担っています。こうした世界規模の取り組みによって「日本の技術力」と「グローバル視点の課題解決力」を兼ね備えた真のモビリティブランドとして、さらなる飛躍を目指しています。
自動運転時代を見据えた「プロパイロット」の進化:実現する最先端の安全運転支援テクノロジー
先進運転支援技術「プロパイロット」は、2020年代に入ってさらに進化を遂げています。プロパイロットは、高速道路での車線維持や車間距離の自動調整、渋滞時のストップ&ゴー対応などを可能にする運転支援機能で、ドライバーの疲労を軽減しながら高い安全性を実現することを目的としています。これにより、長距離通勤や週末の遠出など、日常のさまざまな運転シーンにおいて、心理的・肉体的負担を大きく軽減することが可能となりました。
特に運転が苦手な方や高齢者にとって、プロパイロットのような支援技術は「もう一人の運転手」として安心感を提供してくれる存在となっています。特に注目されるのは、最新バージョンの「プロパイロット2.0」です。このシステムは、3D高精度地図データ(HDマップ)や高性能GPSと連動し、ナビゲーションと車両制御を融合させた運転支援を実現しています。
高速道路上でのルートに沿った自動運転を可能にし、車線変更や合流、分岐に至るまで、システムがドライバーを的確にアシストします。一定条件下におけるハンズオフ(手放し)走行も実現しており、ドライバーは手をステアリングから離したまま、車線を維持しながらスムーズに走行できます。これは単なる利便性の向上にとどまらず、長距離移動における運転者の集中力維持や事故リスク低減にも大きく貢献しています。プロパイロットは複数のカメラとミリ波レーダー、ソナーを組み合わせて周囲の環境を360度モニタリングしています。
これにより、歩行者や自転車、他車両との接近状況をリアルタイムで把握し、必要に応じて緊急ブレーキや衝突回避支援が作動します。さらに近年では、AIアルゴリズムを搭載した画像認識エンジンの導入により、夜間や悪天候時でも精度の高い検知能力が確保されつつあります。これにより、「見逃さない・迷わない・間違えない」安全運転を支える次世代ADASとして、プロパイロットはますます進化を続けています。「ゼロ・フェイタリティ(死亡事故ゼロ)」という明確なビジョンを掲げ、プロパイロットをはじめとするADAS(先進運転支援システム)の普及と進化を戦略の中核に据えています。
こうした技術を一部の高級車だけでなく、コンパクトカーやミニバンにも展開し、誰もが恩恵を受けられる「身近な先進技術」として位置づけている点も大きな特徴です。直感的なインターフェースや、視認性に優れたディスプレイ表示、シンプルなボタン操作など、実際のユーザー体験に根ざした設計思想が、満足度の高いドライビングを支えています。こうした取り組みによって、技術競争を超えた「人にやさしいテクノロジー」の提供を目指しており、自動運転時代の信頼されるパートナーとして確固たる地位を築きつつあるのです。
環境性能と美しさの両立を追求NISSANデザイン:未来を見据えた持続可能なクルマづくり
環境問題や都市空間の美観が注目される現代において、自動車のデザインは単なる見た目を超えた意味を持ちます。その観点から、エコ性能とデザイン性の両立に挑戦しており、単なる機能美ではなく、社会的価値を持つ美しさを追求しています。たとえば、EV「ARIYA(アリア)」は、空力性能を追求したなめらかなフォルムに加え、ボディ全体に流れるようなシームレスな造形が特徴であり、静かで力強い存在感を演出しています。
室内も、伝統的な自動車のレイアウトにとらわれず、水平基調のインテリアやタッチ操作中心のインターフェースが未来感を醸し出しています。デザインは「見た目」だけでなく、「使い勝手」や「過ごしやすさ」にも配慮されています。座席のシート素材にはリサイクル由来の高品質ファブリックやヴィーガンレザーが使われており、触感と持続可能性の両立が図られています。
エアフローを最適化するダクト配置や、照明の色温度にもこだわり、長時間の運転でも疲れにくい空間づくりが徹底されています。リサイクル素材の積極活用や製造時のCO2排出削減など、サステナビリティを意識した設計が随所に施されています。近年ではバイオマス素材や再生プラスチック、植物由来の樹脂なども採用されており、製造プロセス自体が環境への負荷を最小限に抑える工夫に満ちています。車両自体の軽量化や電費の向上にも注力しており、見た目や走行性能だけでなく、環境と社会に配慮したモビリティの提供という使命感が強く打ち出されています。
デザイン面では「Vモーショングリル」や浮遊感のあるルーフライン、シグネチャーLEDなど、NISSANらしいブランドアイデンティティを維持しつつ、ユーザーの多様な価値観や生活スタイルにフィットする意匠を積極的に採用。たとえば、若い世代に向けた先進的なテイストと、シニア層に配慮した視認性・操作性の高さを両立させたデザインバランスは、あらゆる層に支持されています。視覚的魅力と環境配慮を見事に融合させたこのデザイン哲学は、国際的なデザインアワードでも高く評価され、革新性と美意識の高さを象徴する存在となっています。
「伝統と革新のハイブリッドで描くNISSANの未来戦略」」技術と信頼で世界をリードする日本ブランドの挑戦
100年の歴史を持つ今もなお挑戦を続けています。その根底には、「誰もが移動の自由を楽しめる社会を実現する」という強い想いがあります。技術革新を追い求めるだけではなく、人々の生活と地球の未来を見据えた包括的な視点が、経営・開発の根幹を成しています。モビリティの枠にとどまらず、エネルギー・ICT・環境・都市開発・インフラ整備といった複雑に絡み合う社会課題に対して、クルマという存在が果たすべき役割を問い直し、より多角的なソリューションを提供しようという姿勢が、ビジョンに深く根付いています。
電動化・自動運転・環境対応・安全性、そしてグローバル展開。これらすべての分野において、最先端の技術力と実用性の両立を目指し、世界のあらゆる地域と顧客に向き合っています。とくにEVの普及においては先駆者的な役割を果たしており、長年にわたって培われたノウハウを次世代製品に惜しみなく注ぎ込んでいます。そうした姿勢は“革新の象徴”として国内外から高く評価される理由のひとつです。
現実的でありながら先進的、この両立は簡単なようでいて極めて難しい命題です。常に生活者の目線に立ち、リアルな使い勝手や走行環境、費用面なども見据えた現実解を導き出してきました。たとえばe-POWERに代表される“間”の技術や、プロパイロットに見られる“支える自動化”の思想など、すべてはユーザー本位の発想から生まれた成果です。都市部の渋滞・高齢化社会・地方の交通空白地帯など、多様な社会課題に対し、実際に「使える」モビリティを提供し続けているのです。今後はカーボンニュートラル社会の実現や、スマートシティとの連携、エネルギーマネジメント、さらには再生可能エネルギーとの統合的な利活用まで、多様な領域への展開も視野に入れています。
EVをただの“走る機械”ではなく、“蓄電池”や“家庭のエネルギー源”として活用するV2H(Vehicle to Home)などの構想も、その一例です。単に“移動する手段”から、“暮らしを支える基盤”へ。クルマの存在意義は、日産によって着実に再定義されつつあります。そしてその挑戦は、私たちの暮らしをより豊かに、より自由に、そしてより持続可能なものへと導く原動力となっていくに違いありません。描く未来の社会像は、単なる自動車の進化にとどまらず、人と地球が共生する新たなライフスタイルそのものを提案しているのです。
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